夏の夜、明かりに誘われて窓辺に集まる虫たち。通常の網戸をしていても、なぜか部屋の中には小さな虫が飛び回っている。そんな経験はありませんか。一般的な網戸は、蚊やハエといった比較的大きな虫は防げますが、その網目をいとも簡単にすり抜けてしまう、厄介な「小さな侵入者」が存在します。こうした虫嫌いの人々を悩ませる微小な害虫をシャットアウトするために、特殊な性能を持った「防虫網戸」の網が開発されています。そのアプローチは、大きく分けて二つあります。一つは、「物理的に侵入を防ぐ」という、最もシンプルで確実な方法です。これは、網戸の網目を通常よりも格段に細かくした「ハイメッシュ」と呼ばれるタイプの網です。標準的な18メッシュ(網目約1.15mm)では防ぎきれないコバエやヌカカも、網目を細かくすることでブロックします。例えば「24メッシュ」(網目約0.84mm)ならほとんどのコバエを、「30メッシュ」(網目約0.67mm)なら体長1mm程度のヌカカさえも防ぐことが可能です。物理的に通り道を塞いでしまうため、薬剤などを使いたくない、小さなお子様やペットがいるご家庭でも安心して使用できます。ただし、網目が細かくなるほど風通しが悪くなるというデメリットは避けられません。もう一つのアプローチが、「化学的に虫を寄せ付けない」という方法です。これは、網戸の繊維そのものに、虫が嫌がる忌避成分(ピレスロイド系薬剤など)を練り込んだり、コーティングしたりした「虫の嫌がる網」です。虫が網戸に止まること自体を嫌がり、室内への侵入意欲を削ぐ効果があります。網戸に虫がびっしりと張り付く、という不快な光景を減らすこともできます。薬剤は徐々に蒸散することで効果を発揮し、製品にもよりますが数年間効果が持続するとされています。人体への影響は極めて少ないとされていますが、化学物質に過敏な方は注意が必要です。物理的な防御力で選ぶか、化学的な忌避効果で選ぶか。あなたの家の虫の悩みとライフスタイルに合わせて、最強の防虫網戸を選んでみてください。