住宅の健康状態を診断する建築士の立場から、最も警鐘を鳴らしたいのは、構造体に重大な欠陥や劣化を抱えているにもかかわらず、それを見過ごして表面的な化粧リフォームを行うことです。このようなリフォームは絶対にしないほうがいいと言わざるをえません。古い家の場合、床の下や壁の内部で、土台が腐っていたり、シロアリに食い荒らされていたりすることが多々あります。また、現在の耐震基準を満たしていない家も数多く存在します。そのような家に対して、単にクロスを貼り替えたり、ユニットバスを新しくしたりといった目に見える部分だけの改修を行うのは、非常に危険な行為です。なぜなら、新しい設備を入れることで家が重くなり、地震の際の倒壊リスクを高めてしまう可能性があるからです。さらに、表面を綺麗に覆い隠してしまうことで、本来気づくべき劣化のサインを見落とし、致命的な損傷を見逃してしまうことになります。リフォーム業者の多くは、工事を受注するために表面的な美しさを強調しますが、彼らは構造の専門家ではない場合も多いのです。見積もりの中に、耐震診断や基礎の補強、屋根の軽量化といった項目が含まれていない大規模リフォームには、強い疑問を持つべきです。もし、予算が限られており、構造の補強か内装の刷新かどちらか一方しか選べないというのであれば、迷わず内装のリフォームを中止してください。美しくない家で暮らすことは不満かもしれませんが、崩れる恐れのある家で暮らすことは恐怖です。まずは建物の骨組みを健康にすることに全力を注ぎ、見た目のこだわりはその後のステップとして考えるべきです。構造的な裏付けのないリフォームは、一時的な満足感こそ得られるものの、家族の生命を守るという住宅本来の機能を軽視する結果となります。見えない部分にお金をかけることは地味で実感が湧きにくいものですが、それこそが真の意味での住まいの再生であり、しないほうがいい表面的な改修との決定的な違いなのです。
構造が劣化している家で表面的な改修をしないほうがいい理由