リフォームデザインとは、自分にとっての「心地よさ」の正体を探し当てる、内省的な旅のようなものだと私は考えています。私たちは日々、SNSや雑誌から流れてくる無数の「おしゃれな家」の情報に晒されています。しかし、誰かにとっての正解が、必ずしも自分にとっての正解であるとは限りません。リフォームを成功させるために最も大切なのは、世間の流行に惑わされることなく、自分の心が何に反応し、何に安らぎを感じるのかを徹底的に掘り下げることです。リフォームデザインの打ち合わせを始める前に、私は自分の好きなもの、嫌いなものを書き出し、言葉にならない感覚をスクラップブックにまとめることから始めました。例えば、私は冷たい金属の質感よりも、使い込まれた木の温もりを好むこと。整然としたミニマリズムよりも、旅先で見つけた民芸品に囲まれるような賑やかさを愛していること。こうした自分だけの「デザインの核」が見えてくると、リフォームの方向性は自ずと決まってきます。デザインの専門家であるデザイナーは、その核をプロの技術で形にするためのナビゲーターです。自分の好みを抽象的な言葉で伝えるのではなく、具体的な色、形、手触りを通じて対話を重ねることで、想像もしなかったような独創的な提案が生まれることがあります。リフォームデザインは、完成した時がゴールではありません。そこに住み、自分たちの生活が馴染んでいく中で、デザインは完成されていきます。壁に一枚の絵を飾り、季節の草花を活け、使い込まれた家具が部屋の角に馴染んでいく。そんな変化を許容する「余白」をデザインに組み込んでおくことも重要です。自分らしい住まいの形は、既製品の中にはありません。それは自分の内面と向き合い、対話を重ねた末に辿り着く、唯一無二の居場所です。リフォームという機会を通じて、自分は何者であり、どのように生きていきたいのかを空間に刻んでいく。そのプロセスこそが、住まいに深い愛着を抱き、人生を豊かにするための源泉となるのです。