「今のキッチンは狭くて使いにくい」「お風呂の位置を変えて広々とした空間にしたい」水回りのリフォームを考える際、その配置変更は多くの人が一度は夢見るものでしょう。最新のキッチン設備やデザイン性の高いユニットバスを導入するだけでなく、配置を変えることで、日々の家事動線やリラックス空間の質は大きく向上します。しかし、水回りの配置変更には、「給排水」や「排気ダクト」といった見えない制約が存在します。キッチンの配置変更で最も大きな制約となるのが、給水・給湯・排水の配管位置です。これらの配管は、床下や壁の中を通っており、その位置を大幅に変えるには、床や壁を解体して配管工事を行う必要があります。特に、排水管は勾配が必要なため、既存の排水経路から遠ざけるほど床上げが必要になったり、大掛かりな工事になったりする傾向があります。マンションの場合、スラブ下の共有部分に配管が通っていることが多く、大幅な移動は管理規約で禁止されているケースがほとんどです。また、レンジフードの排気ダクトの位置も重要な制約です。排気ダクトは、外壁に通じる換気口に繋がっており、これを移動させるには外壁工事や天井内のダクト工事が必要になります。ダクトが長くなると排気効率が落ちるため、レンジフードの位置を大きく変えるには限界があります。アイランドキッチンに憧れても、排気ダクトの設置場所が確保できなければ、天井に換気扇を埋め込むタイプにするなどの工夫が必要になります。お風呂(ユニットバス)の配置変更も同様に、給排水管と排気ダクトの位置が主な制約となります。特にユニットバスは、そのサイズと形状がある程度決まっているため、既存の浴室スペースに合わせて選ぶのが一般的です。もし浴室の場所を大きく移動させたい場合は、配管工事だけでなく、防水工事や断熱工事も大規模になり、費用も期間も大幅にかさみます。マンションでは、防水層や排水管が共用部分に該当する場合が多く、個人の判断で移動することは原則として不可能です。しかし、これらの制約があるからといって、理想を諦める必要はありません。リフォーム会社は、限られた条件の中で最大限の工夫を凝らし、あなたの理想に近づけるための提案をしてくれます。例えば、配管移動が難しい場合は、少し床上げをして配管スペースを確保したり、あるいは既存の排気ダクトを延長・分岐させるなどの方法があります。