リビングの壁の隅に、いつの間にかできていた一本のひび割れ。長さは三十センチほどで細い線ですが、一度気づくとどうしても視界に入って気になってしまいます。業者に頼むほど大げさなものではないし、何とか自分で目立たなくできないものか。そう考えた私は、週末にDIYでの補修に挑戦してみることにしました。向かったのは近所のホームセンターです。壁の補修コーナーには、様々な種類のパテやコーキング材が並んでいました。店員さんに相談すると、壁紙の小さなひび割れには、チューブタイプで手軽に使えるアクリル系のコーキング材がおすすめだと教えてくれました。壁紙の色に近いアイボリー色を選び、それをきれいに伸ばすための小さなヘラも一緒に購入しました。帰宅後、早速作業に取り掛かります。まず、補修箇所の準備として、ひび割れの周辺を固く絞った布で拭き、ホコリや油分をきれいに取り除きました。次に、仕上がりをきれいにするための重要な工程、マスキングです。ひび割れの両脇に、ラインに沿ってマスキングテープを丁寧に貼り付けます。これで、コーキング材が余計な部分にはみ出すのを防ぐことができます。準備が整ったら、いよいよコーキング材の充填です。チューブの先端をひび割れに当て、ゆっくりと均一な力で押し出しながら、亀裂を埋めていきます。少し盛り上がるくらいに充填するのがコツのようです。充填が終わったら、間髪入れずにヘラを使って表面を滑らかにならします。余分なコーking材をそっと取り除くように、一定の角度でヘラを滑らせるのがポイントです。この作業が一番緊張しましたが、思いのほかうまくいきました。最後に、コーキング材が乾いてしまう前に、慎重にマスキングテープを剥がします。あとは説明書に従って完全に乾燥するのを待つだけです。翌日、補修箇所を確認すると、あれほど気になっていたひび割れはほとんど分からなくなっていました。初めての挑戦でしたが、想像以上の出来栄えに大満足です。費用も千円程度で済み、自分の手で住まいを良くする喜びを感じることができました。
簡単な壁紙のひび割れを自分で直す方法